大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和49(ク)236 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告人の抗告理由について。

借地法九条ノ三第一項による競落建物の敷地賃借権譲渡許可の裁判は、賃借権の

存在することを前提とするものであり、賃借権の存否は、訴訟事項として、対審公

開の判決手続によつてのみ、終局的に確定される。しかし、右規定による非訟事件

の裁判をする裁判所は、かかる前提たる法律関係につき当事者間に争いがあるとき

は常にこれについて民事訴訟による判決の確定をまたなければ賃借権譲渡許可の申

立を認容する裁判をすることができないというべきものではなく、その手続におい

て賃借権の存否を判断したうえで右裁判をすることは許されるものであり、かつ、

このように右前提事項の存否を非訟事件手続によつて定めても、憲法三二条、八二

条に違反するものではないと解するのが相当であつて、このように解すべきことは、

すでに当裁判所の判例(昭和三九年(ク)第一一四号同四一年三月二日大法廷決定・

民集二〇巻三号三六〇頁)の趣旨とするところに照らし、明らかである。けだし、

借地非訟事件手続においてした右前提事項に関する判断には既判力が生じないから、

これを争う当事者は、別に民事訴訟を提起して賃借権の存否の確定を求めることを

妨げられるものではなく、そして、その結果、判決において賃借権の存在が否定さ

れれば、賃借権譲渡許可の裁判もその限度において効力を失うものと解されるので

あつて、前提事項の存否を非訟事件手続において決定することは、民事訴訟による

通常の裁判を受ける途を閉ざすことを意味するものではないからである。したがつ

て、原決定に右違憲のかしはなく、この点に関する論旨は、理由がない。

その余の違憲をいう論旨は、その実質において、原決定の単なる法令違背ないし

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は事実誤認を主張するにすぎないものであつて、民訴法四一九条ノ二第一項所定の

適法な抗告理由にあたらない。

よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとして、主文の

とおり決定する。

昭和四九年九月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 辻 正 己

裁判官 関 根 小 郷

裁判官 天 野 武 一

裁判官 坂 本 吉 勝

裁判官 江 里 口 清 雄

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